坂本から君へ

さかもとのブログ。自分語りとか世間話とか。大阪にいる。

芥川賞受賞作「ニムロッド」感想

今年の芥川賞を取った「ニムロッド」という小説を読んだ。
この話は「仮想通貨」をテーマにしてて、いかにも今風やから期待しながら読んでてんけど、読み終えた感想はというと、正直あんまり面白くなかった。まぁ純文学やからな、エンタメと違って話の面白さを追求する感じでもないから、それで面白くないんかなと思っててんけど、もっと違う方向からこちらの感性を揺さぶらせてくれる感じがあってもええと思うやん。でも全く何も触れてくるところがなかったなぁ。
うん、結局何が言いたいんかようわからんねんなぁ。あらすじでは「現代人は個人であることを辞めて、代替可能な存在になっている」みたいな話に持っていこうとしてるみたいやねんけど、実際読んだ感じではそうでもないような…
主人公が片目から涙を流すことが、終盤で何かすごいツイストかましてくるんやろなと思って待ち構えてたけど、結局なんにもなかったし。
ラストは三人でテレビ会議みたいなことやって、それが何かを象徴してるみたいな感じなんやろうか?三人ともバラバラの場所にいるけど、意識はつながってるよーみたいな?いやいやそんな単純なことではないはずや…人間関係をブロックチェーンに見立ててる?
うーん、ようわからんから誰か説明して欲しい。作者の気持ち答えて欲しい。


芥川賞取ったやつって、やっぱりめっさ面白いんかなと思って期待値上がりすぎるんもよくないと思う。
ちょっと前に、「スクラップ・アンド・ビルド」読んだけど、あれもあんまりやったしなぁ。あの作者はデビュー作の「黒冷水」がすごかってんけどね、ほんまここまで人間の醜悪な部分を描き出してしまってええのん?って思うぐらい凄まじかったわ。あのレベルのんを期待してしまうから、あかんねんやろうなぁ。
あ、でも、「コンビニ人間」はすごいよかったね。これ、作中に「発達障害」っていう言葉が一言も出てけえへんねんけど、どっからどうみても主人公は発達障害やねんな。あー発達の人の頭の中ってこんな感じなんかーってわかってすごい面白かった。そういう意味で、まさに今風のお話やから、これが当たったっていうのんはようわかるわ。

第160回芥川賞受賞 ニムロッド

第160回芥川賞受賞 ニムロッド