坂本から君へ

さかもとのブログ。自分語りとか世間話とか。大阪にいる。

あなたの怖いものはなんですか?

いつも通っている小説教室では最近、ホラー小説の講義を受けていて、そこからまた課題が出された。

課題は二つあって、一つは「あなたの怖いと思うものを教えてください。それついて、人にわかるように説明してください。」というものだ。

ホラーというジャンルが昔から大好きで、子供の頃から数多くの創作物に触れてきた僕だが、今まで一度もそんなことについて深く考えたことがなかった。

「怖さ」って、なんなんだろうと思う。

 

いわゆる、幽霊みたいなものは、僕はどっちかというとあまり怖いとは思わない方だ。

例えば、死んだ祖母が幽霊になって自分の前に現れたとしても、それは自分のことを気にかけて出てきてくれているのだから、むしろとてもありがたいことだし、怖がる理由が一つも見当たらない。

それとは逆に、僕のことをひどく恨んでいる人が、亡くなった後に化けて出てきたとしても、それは死後もその人から恨まれ続けるようなことをした僕が悪いからであって、それはそれで一つの筋が通っているので、これも怖がる理由が全くないような気がする。

なんか幽霊ってすごい合理的な理由から存在しているような気がして、そのことが、「怖さ」から僕を遠ざけてしまうのだ。

 

だからやっぱり僕は、生きている人間が行う不合理な行為の方に、恐怖を感じてしまう。

最近怖いなと思うのは、ネット上でいつまでも一人の人をターゲットにして粘着し続けるような人達のことだ。

例を挙げると、天才中学生として一時期メディアで取り上げられたことで、天狗になってしまい、その後SNS上で数々の大口を叩いたことで炎上し、ネット上で長年に渡ってターゲットにされてしまっている人がいる。いまだにその人がTwitterでなにかつぶやくと、叩くようなリプライがこれでもかと投げつけられる。もうこれは多分、その人がネット上から完全に姿を消すまで続いくのだろう。

他には、精神疾患を抱えている為に働くことができず、障害年金を受給しながら生活しているが、一日中怠惰に楽しそうに生活している様子をSNS上で書き連ねていた為に、それをよく思わない人達から目をつけられて叩かれている人がいる。この人は、ネット上から姿を消したのだが、その後も、某巨大掲示板で消息を探す動きがあったり、その人のことを叩き続ける書き込みが今でも毎日のように見られる。

もしこれが、芸能人のように自分のプライベートをある程度犠牲にして、それをお金に変えている人だったらわかるのだが、ここで叩かれているのは、あくまでもただの一般人である。

日々SNS掲示板に書き込まれ続ける罵詈雑言を眺めていると、いったいどこからこんなエネルギーが湧いて出てくるのだろうと思って、あまりぞっとしない気持ちになる。人は、会ったこともない他人に対して、ここまで憎悪の念を維持して投げ続けることができるものなのだろうか。

僕が「怖さ」を感じるのは、こういう時だ。

 

とまぁ、そういう感じのことを課題に書いて提出しようと思っている。

もう一つの課題は、「『怖い女』というテーマで400字前後の短編小説を書いてください。」というものだ。できるだけ実話の体をとるという縛りがある。

400字なんて一瞬で読み終わってしまいそうだが、そこにうまく起承転結をはめ込んで、伏線やオチを収納しつつ、最後にゾッとさせなければいけない。

というわけで、書いてみた。それがこれだ。

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『人形』
これは、二年ほど前に、当時付き合っていた彼女と喫茶店でおしゃべりしていた時の話です。
その時の僕は、前日の夜に、首の筋を寝違えてしまったようで、朝からとても首が痛かったのを覚えています。

「私達、きっと結婚しようね。」
なんの話からそうなったのかわからないのですが、突然、彼女は満面の笑みを見せながら僕にそう言いました。
付き合い始めてそんなに日もたっていないのに、彼女との結婚なんてまだピンときていなかった僕は、曖昧な感じでうなずくことしかできませんでした。
「ちょっとトイレに行ってくるよ。」
気まずくなった僕は、彼女にそう言ってトイレに立ちました。
用を足して彼女のところへ戻ろうとすると、少し離れたところにいる彼女が、机の上で人形のようなものを握りしめているのが目に入りました。真剣な表情で、しばらくその人形を見つめた後で、とてもとても大切そうに、自分のバッグの中にしまいこむのが見えました。
大切そうに扱っている割には、その人形は、少し首のところがねじれているのが、遠目からでもわかりました。

 

 

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まあ、実際にこんなことする女の人なんて絶対いないんだけど、女性の怖さってこういうところにあるような気がするので、それを抽象化して書いてみた。