坂本から君へ

さかもとのブログ。自分語りとか世間話とか。大阪にいる。

インドの会社に勤めていた

僕は3年ほど前に、インドの企業の日本法人で働いていたことがあるのだが、その時に感じたことを、今さらではあるが書いてみたい。


そもそもなんで僕がインドの会社にいたのかなのだが、長年SI業界にいると「オフショア開発」という単語を耳にする機会が頻繁にあって、それがどんなものなのかちょっと興味を持っていた当時の僕は、謎のコネを使ってインド企業に潜入することに成功したのだ。
インドの会社とはいえ日本法人なので、社員はほぼ日本人ばかりで構成されているのかなと勝手に想像していたのだが、入ってみると社員の8割がたがインド本国から転勤してきている生粋のインド人ばかりだったのでビビった。
彼らとのコミニケーションは基本英語だが、僕はほとんど英語が話せない。そこで、通訳を担当するバイリンガルの日本人がチームに配属されていて、その人を間に挟んで彼らと会話することになる。
SIなので、基本的に客先常駐で勤務することになるのだが、開発チームの中でインド人10人くらいの中にぽつんと日本人の僕と通訳の人が紛れ込んでいるという、ちょっと今までとは勝手の違う環境での業務はとても刺激的だった。と同時に、戸惑うことも多かった。
以下、だらだらと感想を書いていく。

 

時間にルーズ

ミーティングの時間を事前に決めていても、その時間から始まることがあまりない。
遅れて始まるのならまだわかるのだが、結局やらずに終わってしまうことが多かった。
そういう時は、次の日になって、「昨日できなかったあの件のミーティングだけど、今日の15時から改めてやることにしよう。」と言われたりするのだが、その時間になってもやはり始まらずに流れてしまって、また翌日ループのケースにハマることがあったりする。
こういうのは日本企業に勤めていた頃はありえなかったので、かなり驚いた。
彼らは朝の出勤時間も結構いい加減な感じ(9:00の始業に少し遅れてくる。)だったので、これはやっぱりインドの国民性なのかなと思ってしまう。

 

頭がいいし、すごい前向き

ユーザーの業務アプリケーションの画面を触っていて、全て日本語表記で漢字とかも使われているにも関わらず、彼らはどの入力項目がどういう意味を持っているのかについて、完全に把握しているようだった。
漢字を使わない文化圏の人間が、漢字に慣れ親しむのは大変だと思うのだが、 彼らは頭がいいというか、とても勘が鋭いような感じで、なおかつわからないことがあってもめげずに前向きに理解していこうとするスタンスがあって、そこが素晴らしいなと思った。

 

フレンドリー

お昼ごはん用に、家で用意してきた弁当を持参してくるインド人がいたのだが、「君もこれを食え」とか言いながらチャパティをちぎって分けてくれたりすることがよくあった。「辛いだろう?」とか言いながら嬉しそうにしてる。
日本人って、大人になったらあんまりそういうことはしないのに、ものすごくフレンドリーだなーと思った。
向こうの食事はなんでもカレーの味がする。漬物とかでもカレー味。
あと、肉は絶対に食べないし、断食期間なのだと言って食事自体しない人もいた。宗教きつい。

 

飲み会が多い

これはなにか勘違いしているのかも知れないけど、客先の人間も含めた飲み会がやたらと多かった。
お客さんとも自社の人間とも仲間意識を強めて、うまく仕事を進めていこうということなのかな。
我々はクライアント企業に出入りしているただの一業者にすぎないわけだが、なにかそれ以上の関係性を構築しようとしているように感じられた。
僕は参加しなかったけど、お客さんも交えて山登りやUSJに行ったりしていたので、まぁそういうことなのだろう。
インド映画のラストで、敵味方揃って楽しくダンスして終わるというやつがよくあるけど、あんなノリなのかもしれない。これも国民性か。

 

通訳の人がいない時

契約の関係で、18:00以降は通訳の人が帰宅してしまうので、それ以降にインド人とコミニュケーションを取ろうと思うと、身振り手振りでやるしかなくなる。
正直これがとても辛かった。一日の終わりにさらにヘトヘトになってしまう。
やっぱり英語ができないとここでは生きていくのは難しいなと痛感させられた。

 

残業

入社前の面接で、「残業はしてもらわないと困る」と言われたのだが、労働契約書には残業手当は支払わないとはっきり書かれていた。これって労基的にOKなのだろうか?インドの法律だとこういうことは許されているから、その流れでこんなことになっているのかなと疑問に思った。
オフショア先のインド本国にいるメンバーと電話でミーティングすることがよくあるのだが、インド本国はまだ昼間でも、 時差の関係で日本では就業時間後であることが多く、この時間帯にミーティングすることが多かったので、必然的に残業が増える構造になっていた。
ちょっとこれは問題だなと思っていたけど誰にも相談できなかった。

 

自分の業務

オフショア開発なので、実際の作業はインド本国に投げることになるのだが、投げることのできるような作業はたいていルーティンワークばかりで、それ以外の非定型な、まぁちょっとやっかいな仕事は日本人である僕がやるという、そういう感じの分担になってしまっていた。

まぁ日本人のお客さんと細かい調整しないといけない場面で、インド人がでてくると間違いの元になるので、それは仕方ないのかなと。なので、どうしても難易度の高い仕事が僕にアサインされてくる。
クライアントの業務知識が皆無だった自分には、これもとても辛かった。

 

まとめ

インド人は頭がいいし、すごく前向きで、フレンドリーに接してくるところはとてもいいなと思った。
けれども残業の問題は今でも納得いかないし、英語が話せない自分にはコミニュケーションコストがかかるという非常にやっかいな問題があった。飲み会などの親睦関連行事が多かったりするのもかなりしんどかった。
なので、英語が普通に話せて、客先の業務知識に精通していて、定時後も無給でバリバリ働きたいという人にはオススメの職場だと思う。そういう人はもっとよい条件の仕事に就けばいいと正直思うのだが。